麻雀の打ち方 その3

麻雀の立直判断 — 即リーかダマか

立直は1,000点を場に出すだけで1翻が確定し、一発と裏ドラの権利まで付いてくる強い宣言にゃ。その代わり手牌は宣言した形で固定されるから、即リーとダマの分かれ目を打点の数字で見比べていくにゃ。

この記事で決めること — 立直を宣言するかどうか

聴牌したときの選択肢は3つにゃ。その場で宣言する「即リー」、宣言せずに聴牌を隠したまま和了を狙う「ダマ(黙聴)」、そして手変わりを待って宣言を先送りする「見送り」。見送りは形のうえではダマと同じで、狙いが「今の形で和了すること」ではなく「もっと良い形にすること」に向いている点が違うにゃ。

他家の立直を受けてから、自分の手を押すか降りるかという判断は「押し引き」と呼ばれる別のテーマで、その4で扱う。この記事は「自分が聴牌した瞬間に、立直の宣言ボタンを押すかどうか」だけに絞るにゃ。

立直で増えるもの — 1翻と、そのあとの上乗せ

立直の一番の効果は、宣言するだけで1翻が確定することにゃ。役の無い手でもロンできるようになり、しかも立直を起点にした上乗せが次々と乗る。

特に大きいのが裏ドラ。立直して和了したときだけドラ表示牌の裏がめくられ、そこに手牌が引っかかれば1枚につき1翻増える(第7章)。カンで表ドラが増えていれば、その枚数ぶん裏ドラも判定されるにゃ。

もう一つ、点数に表れないメリットとして「他家が警戒する」ことがある。立直がかかると多くの打ち手は安全な牌を優先して切るようになるので、他家の手が進みにくくなり、自分が和了する前に別の人に和了される確率が下がるにゃ。ただし降りてくれる相手ばかりとは限らないし、警戒された結果、待ち牌が出てこなくなる裏返しもある。

立直を起点に乗る翻
上乗せ条件
立直
1翻門前で聴牌して宣言する
ダブル立直
2翻誰も鳴いていない第一巡で宣言する。立直の1翻と入れ替わりで2翻
一発
1翻宣言から自分の次のツモまでの1巡で和了する。間に鳴きが入ると消える
門前清自摸和
1翻門前でツモ和了する。立直しなくても付く
裏ドラ
1枚1翻立直して和了したときだけ判定される

一発とツモと裏ドラ1枚が同時に乗れば、立直だけの手が合計4翻になるにゃ。上乗せのうち立直しないと手に入らないのは、立直の1翻・一発・裏ドラの3つ。

立直で失うもの — 1,000点・手の自由・情報

宣言と同時に1,000点棒を場に出すにゃ。和了すれば供託として自分が回収するので実質の負担は無いが、他家に和了されたり流局したりすれば戻ってこない。なお宣言牌がそのまま当たり牌で他家にロンされた場合は、立直が成立しないので1,000点は出さずに済むにゃ。

次に手牌が固定される。立直したあとはツモ切りだけになり、ツモってきた牌が良い形でも組み替えられない。例外は暗槓だけで、それも槓子にすると待ちが変わってしまう形では宣言できないにゃ。

そして「自分が聴牌している」と全員に知らせることになる。相手が降りれば出和了の機会が減るし、ロンできる牌を見逃したときの代償も重くなる。ダマなら当たり牌を見逃しても自分が次に牌を捨てた時点で振聴が解けるのに対し、立直中の見逃しはその局が終わるまでロンできないにゃ(第8章)。

即リーが基本になる場面

実戦で聴牌したときは、まず即リーを基準に置いて、ダマにする理由があるかを探す順番が分かりやすいにゃ。即リーが素直に得になるのは、次の4つが重なったとき。

①ダマでは役が無い。立直しないとロンが成立しないので、ダマに構える意味そのものが無い。②待ちが両面や三面張で広い。和了率が高いほど、立直で増えた打点を受け取れる回数も増える。③打点が乏しい。1翻の重みは安い手ほど大きい。④序盤から中盤。ツモ番が多く残っているほど和了できる機会が多く、立直で増えた打点を生かしやすいにゃ(一発は自分の次の打牌までで、途中で鳴きが入っても消える)。

特に①は決定的で、ダマだと形は揃っているのにロンできない、いわゆる無役の聴牌になる。当たり牌が何枚残っていても、他家が切った牌では和了できずツモを待つしかなくなるにゃ。

立直の1翻でどれだけ増えるか(子・40符のロン)
ダマの翻数ダマのロン即リーのロン
役なし
ロンできない1,300点(1翻)
1翻
1,300点2,600点(2翻)+1,300点
2翻
2,600点5,200点(3翻)+2,600点
3翻
5,200点8,000点(4翻・満貫)+2,800点
4翻
8,000点(満貫)8,000点(5翻・満貫)±0点

第11章の早見表の40符の行をそのまま並べたもの。4翻まで来ると満貫で頭打ちになり、立直の1翻は点数に表れなくなる。それでも一発と裏ドラは立直でしか付かないにゃ。

ダマに構える場面

上の表の一番下の行が示す通り、ダマを選ぶ理由は「打点が足りているから」だけでは足りないにゃ。満貫で頭打ちになっていても、一発と裏ドラが乗れば跳満まで伸びる余地があるからだにゃ。ダマが本当に得になるのは、その伸びしろが要らないか、立直すると失うものがあるときに限られる。

①順位が今の打点で決まる場面。オーラスでトップ目なら、和了した瞬間に終局して順位が確定する。1,300点でも8,000点でも結果が同じなら、立直で和了率を下げる必要は無いにゃ。②待ちを選び直したい手。立直すると見逃しが局末まで尾を引くので、片方の待ちでだけ打点が跳ね上がるような手では、ダマのほうが融通が利く。③1枚引くだけで良形や高打点に化ける受けが広いとき。序盤なら、宣言を1巡か2巡だけ遅らせて手変わりを見る選択もあるにゃ。

なお立直は振聴でも宣言できる。ロンができないだけでツモ和了はできるので、本作でも振聴の聴牌に立直ボタンが出るにゃ。ツモ限定になるぶん和了率は落ちるから、良形かどうかと残り巡目をよく見て決めることになる。

即リーとダマの判断材料
見るところ即リー寄りダマ寄り
ダマの役
無い。立直しないとロンできないある。宣言しなくても和了できる
待ちの形
両面・三面張など受けが広い待ち牌を自分で使い切っていて枚数が少ない
打点
1,000〜2,600点程度。1翻の重みが大きいすでに満貫級で、これ以上の打点が要らない
巡目
序盤から中盤。ツモ番が多く残っている終盤。残り巡目が少なく上乗せの抽選も少ない
順位
順位を上げるために打点が要るオーラスで、今の打点のまま和了すれば順位が決まる
手変わり
変わっても打点や待ちが伸びない1枚で良形や高打点に化ける受けが広い

全部が片側に揃うことはまず無いにゃ。迷ったら「ダマで役があるか」「待ちが両面か」の2つを先に見て、どちらも当てはまらなければ即リーでいい。

愚形と高打点手の考え方

嵌張・辺張・単騎のような愚形で聴牌したときも、ダマで無役なら立直しない理由はほとんど無いにゃ。待ちが4枚しかなくても、宣言しなければその4枚でロンすることすらできない。まず第3章の数え方で待ち牌の残り枚数を確かめ、それでも十分残っているなら宣言してしまうほうが素直だにゃ。

見送りを考えるのは、待ち牌がすでに場に減っている愚形で、しかも手変わりの受けが広いときにゃ。1枚引けば両面になる牌が8枚あるといった形なら、序盤に限って1巡か2巡だけ様子を見る価値がある。逆に中盤を過ぎたら、手変わりを待つ時間のほうが足りなくなるにゃ。

高打点が確定している手では、判断の軸が「打点」から「順位」に変わる。満貫が見えていても、その和了で順位が動かないなら上乗せを狙う価値は残っているにゃ。逆に、その打点で順位が決まりきるなら、立直で和了率を下げるほうが損になる。

愚形でも即リーが基本 — 嵌張の例
五萬七萬
6萬だけが当たり牌で最大4枚。それでも、ダマで無役なら宣言しないとロンできないにゃ。
見送りを考える形 — 両面への手変わりが広い嵌張
三索五索
4索の嵌張待ち。2索を引いて5索を切れば2索3索、6索を引いて3索を切れば5索6索と、合わせて8枚で両面に変わるにゃ。

例題1 — 良形だがダマでは無役

東1局、南家(子)の5巡目に聴牌した場面にゃ。ドラは東で、手牌には無い。2索と5索の両面待ちで、待ち牌はどちらも場に見えていない8枚。即リーか、ダマか。

手牌(13枚)
二萬三萬四萬五筒五筒五筒七索八索九索三索四索九筒九筒
待ち牌
二索五索
3索4索の両面。どちらが来ても4面子1雀頭が完成するにゃ。
打点の比較(子・5索でロン/ツモ)
選択点数
ダマでロン
無役(ロン不可)和了できない
ダマでツモ
門前清自摸和 1翻20+ツモ2+5筒の暗刻4=26→30符300-500=1,100点
即リーでロン
立直 1翻20+門前ロン10+暗刻4=34→40符1,300点
即リーでツモ
立直+ツモ 2翻30符500-1,000=2,000点
即リー+一発ツモ
立直+一発+ツモ 3翻30符1,000-2,000=4,000点
即リー+一発ツモ+裏1
立直+一発+ツモ+裏ドラ1 4翻30符(切り上げ満貫)2,000-4,000=8,000点

9索と9筒が入っているので断幺九は付かず、5筒の暗刻があるので平和も付かない。つまりダマだと本当に何の役も無いにゃ。

例題2 — 愚形だが、ダマでも役がある

東2局、南家(子)の7巡目にゃ。ドラ表示牌は5萬なので、ドラは6萬。その6萬だけを待つ嵌張の聴牌で、6萬はまだ1枚も見えていない。愚形だが断幺九があるのでダマでもロンできる。どうする?

手牌(13枚)
三萬四萬五萬五萬七萬三筒四筒五筒六索七索八索二筒二筒
待ち牌(ドラ)
六萬
5萬7萬の嵌張。残り4枚だが、ドラなので他家からはなかなか出てこないにゃ。
打点の比較(子・6萬で和了)
選択点数
ダマでロン
断幺九 1翻+ドラ1=2翻20+門前ロン10+嵌張2=32→40符2,600点
ダマでツモ
断幺九+ツモ+ドラ1=3翻20+ツモ2+嵌張2=24→30符1,000-2,000=4,000点
即リーでロン
立直+断幺九+ドラ1=3翻40符5,200点
即リーでツモ
立直+断幺九+ツモ+ドラ1=4翻30符(切り上げ満貫)2,000-4,000=8,000点

待ちの6萬がそのままドラなので、和了したときのドラは1枚。一発か裏ドラが1枚乗れば、ロンでも8,000点に届くにゃ。

例題3 — 満貫が確定している良形

東3局、南家(子)の8巡目にゃ。ドラ表示牌は2萬なのでドラは3萬で、手牌に1枚。赤5筒も持っている。4萬7萬の両面待ちで、ダマのままでも断幺九と平和が付く。すでに満貫が確定しているこの手は、ダマで確実に取るべきだろうか。

手牌(13枚)
三萬四萬五萬五萬六萬三筒四筒赤五筒六索七索八索七筒七筒
待ち牌
四萬七萬
5萬6萬の両面。どちらで和了しても断幺九と平和が付き、翻数も変わらないにゃ。
打点の比較(子・7萬で和了)
選択点数
ダマでロン
断幺九+平和+ドラ1+赤1=4翻平和ロンは30符固定8,000点(満貫)
即リーでロン
立直を足して5翻30符8,000点(満貫)
即リー+一発、または裏ドラ1
6翻12,000点(跳満)
即リーでツモ
立直+平和+ツモ+断幺九+ドラ1+赤1=6翻3,000-6,000=12,000点(跳満)

4翻30符も5翻も同じ満貫8,000点なので、立直の1翻は点数の表には表れないにゃ。差が出るのは一発と裏ドラ、そしてツモが乗ったとき。

例題4 — オーラス、トップ目で聴牌

南4局(オーラス)、西家(子)の9巡目にゃ。持ち点は自分が32,000点でトップ、2着が親の27,000点、3着22,000点、4着19,000点。白の暗刻があるのでダマでもロンでき、待ちは1索4索の両面。ここで立直すべきだろうか。

手牌(13枚)
三萬四萬五萬五筒六筒七筒白白白二索三索八筒八筒
待ち牌
一索四索
2索3索の両面。どちらで和了しても役牌の白が付くにゃ。
打点の比較(子・4索で和了)
選択点数和了後の持ち点
ダマでロン
役牌 白 1翻20+門前ロン10+白の暗刻8=38→40符1,300点33,300点(トップ)
ダマでツモ
白+ツモ 2翻20+ツモ2+暗刻8=30符500-1,000=2,000点34,000点(トップ)
即リーでロン
立直+白 2翻40符2,600点34,600点(トップ)
即リーでツモ
立直+白+ツモ 3翻20+ツモ2+暗刻8=30符1,000-2,000=4,000点36,000点(トップ)

子が和了すれば親が流れてそのまま終局にゃ(第4章)。どの行で和了してもトップは動かないので、増えた点数は順位に影響しない。

この記事のまとめ

  • 立直しないと手に入らないのは、立直の1翻・一発・裏ドラの3つ。代わりに1,000点と手牌の自由を失う。
  • ダマで役が無い聴牌はロンができない。この形はまず即リーでいい。
  • 待ちが両面で、打点が乏しくて、序盤から中盤なら即リーが基本。愚形でも、ダマで無役なら宣言する。
  • 「もう打点が足りている」だけではダマの理由にならない。満貫で頭打ちでも、一発と裏ドラで跳満まで伸びる。
  • ダマが得になるのは、オーラスで今の打点のまま順位が決まる場面や、待ちを選び直したい手。
  • 立直中の見逃しはその局が終わるまでロン不可。宣言した後は待ちを選べないにゃ。